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2021年11月 5日 (金)

久しぶりに小説を一気に読んだ! 片岡義男作品だよ!

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東京湾浦賀水道近くに浮かぶ大型船 2021年10月

先週、片岡義男さんが登場した新聞連載「語る~人生の贈りもの~」を紹介した。この連載、私がよく目を通す一つだ。

この欄で片岡さんの前に掲載されていたのは映画評論家の山根貞男さんのインタビューだった。

何編か彼の映画評論を読んだかな。

山根さんもなかなかだ。

映画雑誌「キネマ旬報」で映画時評を34年以上こなし、今年刊行した「日本映画作品大事典」などは22年間もかけて発刊にこぎ着けている。御年81歳。たいしたものだ。

 

「人生の贈り物」欄では登場者がインタビューに応えながら、それぞれの語り口で人生の喜怒哀楽やら艱難辛苦、現在の心境、仕事のことなどを自由に語る。

 

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2021年9月20日朝日新聞掲載

 片岡さんの語りとエピソードに興味を引かれながら読み進めたけど、彼の言ってきたこと、やってきたことが少し分かったような気になった。

片岡さんのイメージは前回触れたところだけど、関心を持ったきっかけは「青空文庫」で彼の作品を見つけたことからだ。

✳青空文庫は、著作権が消滅した作品や著者が許諾した作品のテキストを公開しているインターネット上の電子図書館。(wikipedia より)

私は「文庫」では著作権が消滅した作品だけが公開されるものと思いこんでいたので突然現役作家が紛れ込んできたのかと驚いた。著者検索で「カ行」の誰かを探していた際にヒットしたのかも知れない。

もう一つ不思議に思ったのが、書店に行っても彼の本が見つからないことだった。

なんと、ほとんどが絶版になっていた。見つからないはずだ。

 古本屋でようやく見つけたのが「文房具を買いに」(平成22年5月初版 角川文庫)だった。

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「青空文庫」はインターネット環境があれば誰でも読むことができる。

我が家でも結構重宝している。映画や演劇を観た時、ネタは何だろうと調べると以外にもいわゆる文豪であったり、一世を風靡した作家の著作であったりする。原作を読みたくなった時など書店の棚で見つからなくとも「文庫」には所蔵されているのだ。坂口安吾などもそうだった。

 

片岡さんの作品が「青空文庫」で何故読めるのか本人の弁があった。

「載せませんかと言われて『はいどうぞ』と了解した。 僕は無料で貰うのはあまり好きではないけれど、無料で人が自由に使うと言うのは非常に好きなんです。」と応えていた。(book  shorts プロジェクトのインタビューにて)

そんなことで「人生の贈りもの」連載を面白く読ませてもらった。

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「文房具を買いに」表紙帯

連載第一回はオノマトペに触れながら日本語の面白さを語り始めた。「ズキズキ、ズケズケ、ズコズコ」と。

第二回は父母について語った。

お父さんはハワイのマウイ島で生まれ育った日系二世だった。成人してアメリカ本土で働きながら、金がたまると太平洋航路の船で日本に来て東京や横浜で遊んだ。祖父の実家が岩国だった。そこから見合い話が出てきて、結局結婚したのが義男の母となる人だった。1939年に義男が生まれるのだが2年後太平洋戦争が勃発。結局父母はハワイに戻れず日本での生活となった。義男は父の英語、母の日本語に囲まれて育ち、両国語を身に着けた。・・・ここまで知っただけで著作に触れたくなった。

ついでに言えば彼の父もかなりしたたかだ。戦後、GHQで働いたんだそうだ。

こんな風にして15回分を読んだ。

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 カワサキ650 RSW3

 「文庫」には片岡著作が12作品もある。(2021年11月現在)

その中で二作品を選んだ。一つは「彼のオートバイ、彼女の島」これを読み、二つ目は短編集「波乗りの島」に収録された「白い波の荒野へ」を読んだ。久しぶりに中編小説を一気読みした。面白かった。

彼のオートバイは写真の「カワサキ650 RSW3」そして、彼女の島は「瀬戸内の島」。片岡の祖父、母の実家も瀬戸内海に面している町だった。バイクの走りや、メカニックについての描写はさすがだ。

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1999年7月の瀬戸内海---旅の途上にて

「白い波の荒野」の舞台は父の生まれ故郷ハワイだが、島は故郷マウイ島の隣りのオアフ島。

この「白い波・・」は片岡の初めての小説だった。(1974年春「野生時代」創刊号掲載)

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2019年6月4日放映 NHKBSプレミアム「街歩き太平洋の島スペシャル」より

二編を一気に読んだが、片岡の小説表現はイメージをリアルに浮かび上がらせる。

「彼の・・彼女の・・」の二章では長野県上田市内で雨に降られ無料の公共浴場で雨宿りするのだが、その湯船の中で昼に出会った運命の女性に再び会う(混浴と言うか、区分のない湯船だった)。前後の表現が分かりやすくリアルに頭に入ってきた。

続く三章ではカワサキで走行中、悪ガキカップルが運転する車が、面白がって彼のバイクを煽り幅寄せをしてきた。結果はバイクの主人公が断固とした反撃に出た。悪ガキ運転者を同伴者の前でボコボコにし、おまけに車もガードレールにぶつけ大破させた。とても暴力的で、私などとてもできないことだけど現場がクリアーに見えた。

他にも、仕事先の先輩と彼の妹をめぐってバイクを走らせ決闘をした。中世の騎士のごとく馬上で槍を持って闘うようにして決着をつけた。瀬戸内海に浮かぶ彼女の島でのこともそうだった。なんと言うか、ドキュメンタリー的進行に会話を加えながら文学的にしたような印象を持った。

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オアフ島の波・・・パイプライン・・「世界ふれあい街歩き」NHKより

片岡はこのあたりの「文学的極意」について連載第9回で語っていた。

「波乗りも、バイクも好きだった。当時一番面白いと思っていたことを書こうとした」

サーフボート、バイク等々「ある種の道具立てに頼らないと話を作れなかった」

読む端から面白いといえばコミック。コミックを小説で書けばいい」と思った。等々。

この辺、「ゴルゴ」のさいとう・たかをさんが劇画つくりについて語っていた「映画の画面構成そのものを紙の上につくる」ということに、何か通ずるように感じた。

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我が家で咲き始めた菊

「彼のオートバイ、彼女の島」は大林宣彦監督によって映画化された。

映画では最後に上田市の湯船で知り合った女の子がバイク事故で死んでしまう結末だった。小説を読み進む中で、できるならばそんなジ・エンドでなければいいなと思い始めていた。願いが通じたわけではないのだが事故にも合わず、死ぬこともなかった。良かった~!

 

 

 

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コメント

昔、片岡義男を読んで、カワサキW1に乗っていれば女の子が乗りたがる、と思い込み、免許を取りカワサキのW1に乗り始めました。しかし現実は「バイクに乗りた~い」と言う女の子は何人かいてもリヤシートに乗ってくれる人はいませんでした。10年ほど甘い夢を追い続けましたが、現実を見極めバイクを下りました。

でも本と出会い、あの時期にバイクを運転したおかげで、バイクでで走り続ける気持ちよさだけはいつまでも記憶に残り、いい年をしてまたバイクに乗り始めて20年余りたちます。

今度は動機が純粋なので続いております。


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