「やっぱりジュリー」なんだ ❗
今回のタイトルは、どちらかというと物事を深掘りされる新聞特集欄で見つけた。「オピニオン&フォーラム 耕論」(朝日新聞5/14)の大見出しをそのまま使わせてもらった。
この欄は「オピニオン&フォーラム」で括りながらも掲載日によりテーマへのアプローチの仕方が異なり、サブ標題も変わる。インタビュー、寄稿、記者解説、論壇時評、フォーラムさらに交論、耕論など多彩だ。
耕論では様々なテーマを複数の論者が異なる論拠を示しながら短くまとめている。読者としては様々な視点、角度からものをとらえ、諸テーマについて考えるきっかけになる。
今回は沢田研二さん、通称ジュリーを三人の方が語り、「やっぱりジュリー」なんだと言うところが落とし所になったのかな。
語っていたのは音楽評論家のスージー鈴木さん、映画監督の中江裕司さん、ノンフィクションライターの島﨑今日子さんの三人だ。
南の洋上で台風一号が発生した。鉄砲ユリもこんなに育った。倒れないで!
耕論は、どちらかというと世俗的なことがテーマになっているように見受けられる。この数週間のテーマは次のようだ。「排尿ベンチ 置かれる街」「自虐ネタ、どうして」「数学、見つめ直すと」「地方自治法改正は必要か」「終わらない、ジャニーズ問題」等々。それらテーマを各人凡そ1000字でまとめている。
そんな風なんだけど、この日もいつものごとく数日前の新聞を開き目を通し始めた。目に留まったのが「ジュリー」。「元」スターがテーマ?と気になった。
これだけしっかりしていれば強風にも耐えられるね!
スージーさんはTV BS 12トゥエルビの番組「ザ・カセットテープ・ミュージック」でマキタ・スポーツさんと組んでMC を務め、曲と曲の間に音楽談義をしている。以前から録画して時々視聴してきたので顔はお馴染みだ。でも、他ではあまり拝見することがなく、それほどメジャーな方ではないのだろうと思っていた。それが、失礼ながら耕論の筆者として見つけ「えっ」と驚いてしまった。でも、彼の語りは滑らかで該博感いっぱいだ。
その彼が宣言したのが「一番好きな歌手はジュリーだ~」だった(2018年2/2 沢田研二特集)。
彼が語るに「ジュリーは一貫して本質的にロックミュージシャン。75歳でも活動のど真ん中にライブコンサートをおいている」。そして、具体的に例示したのが2023年6月25日に「さいたまスーパーアリーナ」で開かれたジュリー75歳誕生日当日のコンサートだった。当日WOWOW で実況放送され、録画が我が家にあった。
「沢田研二 LIVE 2022-2023『まだまだ一生懸命』ツアーファイナル バースデーライブ」だ。
一昨年、沢田が出演した「キネマの神様」(監督山田洋次 2021年作品)を観ている。その際の印象がロックンローラーとはかけ離れていたので、音楽活動はどうなんだろうなと気になっていた。
それが、3時間超のライブ演奏を観て聴いて驚いた。スージーさんのおっしゃる通りだと共感できたし、どうもジュリーに対する私の見方も変えてくれたようだ。曲が終わるたびに「ありがとう!サンキュー!ありがとうね!」と発した。
舞台を駆け回る姿は、以前、武道館のライブで見せてもらったローリングストーンズのミック・ジャガーに重なった。
白髪の風貌は、エリック・クラプトンを髣髴とさせた。
映画監督の中江裕司さんは那覇市を拠点に活動されているとのこと。
彼が、監督し、沢田研二さんが主演した映画「土を喰らう十二か月」でジュリーはあちこちで評価された。
毎日映画コンクール男優主演賞、キネマ旬報ベストテン主演男優賞、全国映連賞男優賞などだ。
俳優としても高い評価を受けたわけだ。
映画「土を喰らう・・・」は信州の山村が舞台で、主人公は一人で暮らしながら畑を耕し精進料理を作る作家。
身勝手で、本当に「いい男」が演じないと厭味になってしまうようなキャラクター。誰がいいかなと思い浮かんだのが沢田研二さんだったという。出演依頼しても、監督としての自分を選んでくれるか心配していたのだが、逆に「オーディション」をしてくれと言われて面食らってしまったそうだ。ジュリーが言うのに「昔のイメージでなく、今の姿を見て判断してほしい。反戦や、反原発、沖縄のことも歌っている。映画の迷惑にならないか」と問われた。監督は「全く問題ありません」と伝えたところ出演オーケーとなったという。沢田研二は「加齢も、容姿の変化も、全てさらけ出す覚悟ができている」と感じ、「やっぱりジュリー」となったようだ。
映画も観た。なかなか良かった。ロックンローラーとしての登場ではなかったが、幼少時に禅寺の小僧だった際に覚えた精進料理作りに勤しむ姿も、作家役も板についていた。
亡き妻の母(奈良岡朋子が演じた)が一人で住んでいた山小屋
島﨑京子さんはやはり、沢田の今を高く評価する。
沢田は「ライブで歌う以外のことを捨てていく。作り上げたイメージを脱ぎ、自立した音楽活動の中で、憲法を歌い、被災地に思いをはせる。大衆とともにある反骨精神は健在です。譲れないものだけを守り、他はためらわず手放す」・・・「やっぱりジュリー」だ。
きらびやかな昔でなくて、今を見ろって言うのがいいね❗
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