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映画・世の動き

2025年5月30日 (金)

火垂るの墓(高畑勲監督)そして瀬戸内少年野球団(篠田正浩監督)を観たよ ! 共に80年前の事を描いていた。

 「火垂るの墓」が国内で初めてネット配信されると新聞で大きく取り上げられていた。海外においても戦争が引き起こす事象についてリアルに描かれていることで注目されたともあった。(朝日新聞5/15)

特にベトナムでは大きな共感を得られたという。同じアメリカに無慈悲な無差別攻撃をされ、多くの家族が泣かされてきたからね。

ベトナムの人々は語っていた。「別の国の物語と思えなかった。ベトナム戦争世代の祖父母からよく聞いていて、空爆被害もそっくりで驚いた」と。

日本が戦後80年なら、ベトナムは1975年終戦から50年だものね。

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「火垂るの墓」の記事から4日後、故人となった映画監督篠田正浩さんの記者インタビュー回想が連載で始まった。(エンドロール 映画監督 篠田正浩 朝日5/19~5回)

その中で監督の手掛けた作品のいくつかが紹介され「火垂るの墓」と同時代、同背景を対象とした作品が「瀬戸内少年野球団」だと知った。終戦前後という時代だけでなく神戸と淡路島という地理的関係も近い。

この「少年団」の原作が阿久悠さんだったとは知らなかった。阿久さんが亡くなって早18年にもなるんだね。しかも70歳で生涯を終えていた。「火垂るの墓」の原作者野坂昭如さんはちょうど10年前に85歳で亡くなっている。

アニメと劇映画、二つとも観たくなった。

我が家の録画ストックを探った。

両方とも録画した記憶があった。

なんとか見つかった。

「火垂るの墓」は2019年8月15日の終戦記念日に放映されていて録画した。

「瀬戸内少年野球団」はさらに遡ること3年。2016年3月18日に録画してあった。10年近く前だ。

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Img_64967_20250529181001「火垂るの墓」は1988年に公開された高畑勲監督(ジブリ)の作品だ。

冒頭は主人公の少年が餓死寸前で鉄道のガード下のようなところで横たわっている場面からだった。上の画像は米軍B29が軍事施設でもない民家を焼き尽くすように焼夷弾を落としているところだが、アニメの中では凄惨な戦闘シーンなどは他には一つも出てこない。

戦災孤児となった主人公と妹が必死に生きて亡くなっていく様子が描写される。

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瀬戸内の海岸で遊ぶ兄妹

「瀬戸内少年野球団」は1984年の作品だ。篠田監督は70年代には前衛的な作品で注目されていたのだが、80年代に入ってエンターテインメントの作品を手掛け、その代表作がこの映画だそうだ。

確かに、観賞していてストレス抜きで物語にスーと没入できた。起用されている役者も、夏目雅子、郷ひろみ、渡辺謙、さらにはちあきなおみ、そして監督の奥さんである岩下志麻などその当時としては馴染みの方々だった。今、国際派俳優として活躍されている渡辺謙さんだけど、とても若々しく、ツッパリの演技がなかなかだった。

亡くなったはずの夫が片足を失った傷痍軍人として帰還するのだが、それを演じたのが郷ひろみだった。

こんな精悍な郷さんにお目にかかったのは初めてだ。

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映画は天皇が敗戦を伝える「玉音放送」を校庭に並ばされた生徒たちが聞かされるている場面から始まった。

生徒たちがラジオを聞きながら「何を言っているのか分からない」などと言っているうちにタイトルが出てくる。

バックに流れる「玉音」の声がだんだんジャズに変わり、タイトルがアメリカ国旗で塗られた。

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淡路島からの瀬戸内海の眺め

主役の夏目雅子さんも若くしてお亡くなりになっている。1985年9月に27歳でだった。

「瀬戸内少年野球団」は1984年6月公開で、同じ年9月に公開された「北の蛍」が彼女の遺作となったようだが、「北の蛍」ではナレーターとしての出演だった。ということは、映像でその姿を見れたのは「・・・野球団」が最後だったのかな。

「・・・野球団」は1984年のキネマ旬報の賞で映画部門及び主演女優部門のベストテンに共に入った。映画は3位、女優としては5位にランクされていた。

ちなみに「火垂るの墓」の評価はどうだったかとみると、1988年度の第31回ブルーリボン賞の特別賞を受賞していた。

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郷ひろみ演じた傷痍軍人が元中学野球の選手であったこともあり、中学生になった子供たちが野球チームを作った。他校のチームと戦った初戦ではぼろ負けしたのだが、機会あって進駐軍の野球チームと対戦することになった。

練習の甲斐もあって、それなりに加点していった。試合の最終盤に勝敗が決まる肝心の一打で転がったボールが飛び出してきた犬にくわえられ持ち去られるという珍事が発生し、結局引き分けという裁定が下された。

こんなハッピーエンド的にジ・エンドとなるのだが、二つの映画共に戦争が呼び起こす悲劇を十分に伝えてくれた。

爆撃や殺戮そのものでなくとも、結果としての廃虚、戦死、一家離散、戦争未亡人、傷痍軍人、無事帰国したものの戦争犯罪人として逮捕され死刑などなど。

高畑監督も語っていた。「本作は決して単なる反戦映画ではなく、お涙頂戴のかわいそうな戦争犠牲者の物語でなく、戦争の時代に生きた、ごく普通の子供がたどった悲劇の物語を描いた」と。

今も続くアジア、アフリカ、ユーラシアの「humanitarian crisis」 nantoka naranですかね!

 

2025年3月13日 (木)

洋画興行収入が大幅に減の昨年2024年。BS10の試みは起死回生策となるのか? MEN IN BLACK は面白かったよ!

新聞文化欄を見て「そうなのかー」と考えさせられた。

2024年の映画興行収入が発表されたのだが、洋画が一本もベスト10に入らなかったのだ。(日本映画製作者連盟 1/29発表 朝日2/18付文化欄)

ちなみに、興行収入の一位は邦画「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」で158億円の興収があった。洋画のトップは「ウオンカとチョコレート工場のはじまり」で邦画及び洋画全体の16位にとどまった。

ただ邦画のみで見ると連盟が興行収入を発表するようになってからは過去最高の実績となっていて総額1558億円に達したとのこと。それ自体は素晴らしいことだ。しかし、先にも触れた洋画の低迷は深刻で、前年よりも30%以上収入を減らし、洋邦全体では前年を下回る結果となってしまった。

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今週の富士山は雲海の上に真っ白な姿を見せた

関係者の間で原因を探っているのだが、アメリカの脚本家と俳優の労働組合が決行したストライキの影響で映画の公開時期が遅れたこととか、ハリウッドの戦略に変化があったからだとかいくつか出てきた。

私がそうだと相槌を打てた説は、コロナ禍にあって劇場への集客が難しくなった時、ワーナーやディズニーなどが対応策として試みた劇場とネット配信あるいはテレビ配信の同時公開の影響も無きにしも非ずかなと言う一つの答えだ。結果として映画人気は衰えていないのだが劇場に足を向ける人が減少したからではないかというものだった。

確かにそうだね。私なども映画の感想を時々述べているものの、全て我が家のTVディスプレーを通しての観賞だものね。

実際、たまに行く電気屋さんで展示されている77V型(横172.3cm 高さ107.9cm)の大画面ディスプレイに4Kの鮮明画像が映っているのを見るとなかなか素晴らしい。それを一人で気兼ねせずに観られるとなると、いいなと思っちゃうね。皆と共感できる劇場も良いけれど。大画面の映画を独り占めできるなんて、映像観賞も昔とは大違いだ。

最も、世界で動画観賞が始まったのはエジソン発明の「キネトスコープ」でこれは「のぞき穴式」で一人で鑑賞するものだったようだ。(伊藤弘了著 「教養としての映画」PHP研究所)

捉え方としては、動画観賞の原点に立ち返ったのかな。

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そこで符合してくるのがBS10の戦略であり先見の明だ。

先ずは、開局後放映された第一作目を見た。ウイル・スミスとトミー・リー・ジョーンズが共演したMIB(MEN・IN・BLACK)だ。前々回このブログで案内した映画紹介番組のMC(master of ceremonies)の一人、野村雅夫さんの解説作品第一作だ。面白かった。

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野村さんの話の中からBS10のコンセプトが見えてきた。

一つは2/27アップのこのブログでも紹介したが、毎週末3人が「制作年代」やジャンルで映画を区分けし紹介を分担していることだ。

1、70~90年代 2、名作 3、新作・準新作・娯楽映画だ。 2と3では時代にこだわらないことになるのかな。

この分類の仕方や、MCの野村さん、加藤さん、舘さんのファンの方々が新に映画を観てみようと、その気になるかもしれない。これまでの例では一週間の内3回も専門的に映画のガイドをするテレビ局などなかったような気がする。

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もう一つがSNSの活用だ。今、トランプさんと共に発言が注目されるイーロン・マスクさんの「X」を生かしているのだ。最新のテクノロジーを使って視聴者との新しい繋がりを作っていこうという試みだ。

これらの番組、テレビでの視聴と共にタブレットやパソコンを通しても観ることができる仕組みが作られている。

Xにアクセスすることが条件なのだが、どこでも見ようと思えば見ることが可能なのだ。

さらに、視聴中にツイートすることが可能となっている。

まさに劇場どころか、劇場ではその場で感想を述べることなどは当然に御法度なのだが、観ながら、まさにリアルタイムにコメントを発することができるのだ。実際MIBの解説やら自己紹介を野村さんがしている最中にテレビの画面下に「野村さんカッコいい!」とのコメントが流れた。タブレットでの映画観賞についていえばWOWOWはすでに実行済みだったけどね。

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MIBに登場する宇宙人。28年も前の作品であるのだけどとてもユニークでリアルな動きをする。

それだけでも面白かった。

MCの話も映画の始まる前とさらに後の時間も使い、従来の映画解説などに比べるとかなり厚みのあるものになっている。

また、深堀しているのだけど重厚さを感じさせずに映画を観てみようという気にさせてくれる。

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ここでは映画の内容には立ち入らないけれど、野村さんの冒頭の話を紹介して終わりにしよう。

「この番組は、往年の名作映画を楽しみながら視聴者と映画にまつわる思い出をシェアーしていく思い出共感型映画番組です」

野村さんを知ったのは、申し訳ないけど今回が初めてだ。

それにしても、とても口達者だ。さらに言えば止まらない感じのしゃべりだ。

まあ、良く言えば、野村さんの語りというか、トークはテンポよく、的を射ている。

これからも観させてもらおう!

2025年2月27日 (木)

磐石だと思っていたところも意外に脆弱なんだね。自動車会社、電気メーカー、テレビ局。

最近の自動車業界のあれこれを見ていて、改めてそうだったのかと思い知った。とりわけ日産自動車がこんなにも業績を悪化させていたのかと知ることになった。(昨年11月発表 2024年度上半期業績から)

私も日産のブルーバードやセドリックに乗っていたことがあったから気になるね。セドリックと言っても高級セダンではなく、子供たちとキャンプなどに行く時の荷物搬送用に使えるワゴンタイプの中古車だったけどね。

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今の愛車はトヨタ製。

このところトランプさんが矢継ぎ早に出す大統領令の影響を見るためか、あれこれの業界の業績などが公にされている。トヨタなどは世界的にみても販売台数ダントツなんだね。発表された2025年3月期の業績予想を見ると凄い。円安も業績を押し上げているのだが、売り上げが47兆円、純利益を4兆5200億円と見込むというから驚く。小国の国家予算のようだ。

自動車業界も生き抜くための世界戦略を練っていて、提携やら統合が検討されてきた。もし実現すれば世界の自動車産業の勢力図を塗り替えると言われていたホンダと日産自動車の経営統合構想は、あれこれの経緯の中で破綻した。三菱自動車も当初関係していたのだが株の時価総額がホンダの十分の一ほどでしかなく、そのまま行くと経営の自主性が失われる可能性ありと判断し統合を早々に見送っていた。

山一証券など金融関係もかつてそうであったし、流通業界の盛衰も激しく、デパートやスーパーが街から撤退して行くのを目の当たりにしてきた。一般消費者としては愕然とすること度々だ。

つい数日前にもヨーカ堂の売却交渉の話が報ぜられていた。

セブン&アイHDがイトーヨーカ堂などを束ねる中間持株会社「ヨークHD」をアメリカの投資ファンドへ売却する方針を明らかにしたのだ。

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電気メーカーも例外でない。

現在使用しているパソコンはdynabook なのだが、東芝製品として購入したものの、しばらくして電気店に行って分かったのだが、わが愛機は購入後数か月しか過ぎていないのに、商品名は同じであるにもかかわらずDynabook株式会社製品となっていた。その会社は2020年8月にはシャープ株式会社の完全子会社となった。

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そのシャープ、我が家のテレビもAQUOS (シャープ製)なんだけど昨年8月にはその液晶パネルの生産を終了していたんだって。国内メーカーとしては同社堺工場がテレビ向け大型パネルを唯一手掛けていたので国内の生産拠点は無となってしまったということだ。

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AQUOS なかなか画面が美しい

毎週番組をチェックしながらこれはという作品やドキュメントを録画している私にとって驚きというか、「何これ」と声をあげそうになった記事があった。先月1月24日の新聞経済欄を見て、ため息が出た。ソニーグループがブルーレイディスクなどを2月に生産終了するというのだ。私は映画などをソニー製の100GBディスクに保存していた。すぐに電気店に向かった。まだ普段通りに陳列されていた。でも、在庫が一掃されればもう買うことはできない。

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理由も記されていた。近年はデータの保存先が記録メディアからインターネット上のクラウドストレージに移行し、ネット上で映画や音楽を配信するストリーミングサービスが普及してきているからだそうだ。

テレビ局をめぐっても驚くような変化が生じている。

中居氏をめぐってのフジテレビにもビックリさせられた。

1月17日のフジテレビ社長会見後、スポンサー企業がCMをACジャパン公共広告へ差し替えたり、差し止めてきた。1月20日にはCMを差し止めた企業は75社にものぼった。

このような展開があったのは「ビジネスをする上で人権を重視すべきだという考えが国際的に強まってきた」(朝日新聞1/24付1~2面)ことがあるようだ。

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朝日新聞1/24朝刊2面

それにしても、芸能人の個人的スキャンダルと見ていたことが、問題はそもそもテレビ局の体質からだと捉えられるところまで進展し、30日に開かれたフジメディアHDの取締役会では結論として、広告差し替え分やキャンセル分について広告代を請求しないことを確定した。結果としてCM 収入が233億円も減少する見込みだと報ぜられた。驚かされた。(毎日新聞デジタル1月30日)

でも、問題はそこに留まらないようだ。

地上波民放地方局の多くはフジやTBSなどのキー局を中心とする系列下にあり、朝から深夜まで放送される大半の番組はキー局制作番組なのだ。大口のCMは大部分をキー局が営業し、契約を取っている。その売り上げの一部が地方局に分配されるという仕組みのようだ。地方局はフジテレビのCM収入が減ればその影響は免れず深刻な事態も予想されるのだ。

テレビ局について言えばもう1つ、BSチャンネルの大きな変化だ。

2025年1月10日「BS10」が開局した。

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昨年中から、TV番組表を観ていて、どうしたのかなと思っていたことがあった。

3チャンネルあったスター・チャンネルが1チャンネルになっていたからだ。

2024年6月に東北新社が保有していたスター・チャンネルの全株式がジャパネットHD傘下のジャパネットブロードキャスティングに譲渡されていたのだ。

ジャパネットは2022年3月より無料チャンネルのjapanext 263チャンネルを運営していた。その時同時にBS松竹東急260チャンネル、BSよしもと265チャンネルも始まった。

スターチャンネルの全株式を保有したジャパネットは昨年8月それまでのjapanextにスターチャンネルを融合させ名称も「BS10 スターチャンネル」とすることにしたのだ。結果無料チャンネルの「BS10」と有料チャンネルの「BS10+ スターチャンネル」が2025年1月10日からスタートした。

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面白いなというか、楽しみが増えたなと思ったのは、上掲の三つの番組だ。

無料チャンネルで週に3人が別番組で映画を紹介するのだ。

「70~90年代の懐かし映画」を野村雅夫さん、「世界中の名作映画」を舘ひろしさん、「新作、準新作 娯楽映画」を加藤浩次さんとよしひろさんが案内してくれる。どんなものになるやら。観たところで紹介したいね。

子供の頃実感した現実社会。それは揺るぎのない社会、変わることはない現実だと思っていた。しかし、10年過ぎ、20年経つにしたがって脆くも壊れていくものが眼前にあった。絶えぬ紛争、地域毎の格差、難民の発生、それらにも起因するだろう各国の右翼の台頭。

そんな流れのなかでトランプさんも出番が用意されたのだろうけど。

子供の頃描いていた未来・・二十一世紀とちょっと違う世の中の動きだ。

 

2025年2月13日 (木)

ハリウッドアングルでの NIPPON サムライ集団、結構面白かった! 47RONIN

エミー賞、ゴールデングローブ賞がきっかけで、録画するばかりでなく映画をしっか観ることができた。

二本目として「47RONIN」(2013年作品) を視聴した。

アメリカ版忠臣蔵だ。真田は大石内蔵助を演じた。

それにしてもアメリカの監督が忠義と仇討ちに興味をもつなんてね。

ま、全編英語だったけどね。日本人の俳優たちも流暢に喋っていた。(真田広之、浅野忠信、菊地凛子、柴咲コウ、赤西仁)

ただ赤穂の四十七人の義士が吉良を討つために誓った覚悟の血判状には各々漢字で名を記した。

冒頭から幻想的城郭と城下が眼前に展開した。

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そして、美しい森での狩だ。

そこに現れるのが決して日本の江戸時代には存在したはずのない怪獣。

そして、闘うのはバイリンガルのサムライたち。でも、いでたちは大陸的な印象。

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その中で差別されていたのが容貌は白人だが天狗の子と恐れられているカイという名の男。(キアヌ・リーブス)彼こそネイティブな英語使いなんだけど

結局、怪獣は腕の立つことを自負するサムライでなくカイが倒した。

後半で彼の出生が明らかにされる。赤穂にそれほど遠くない所に「出島」と呼ばれる地がありそこは異国の帆船の寄港地だった。そこにいた船乗りと日本人の母の間に生まれたのがカイだった。

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六つ目の怪獣

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人間に襲い掛かるときの姿。恐ろしい!

観はじめると、確かに日本を舞台に日本史上の一時代が描かれているように見えるが、ちょっと違うかなという印象も持つ。

だからと言って、つまらないわけではない。

いわばインディ・ジョーンズやらハリー・ポッターのような冒険活劇だね。これまでもファンタジー映画などで描かれたアジア各地も多分そこに住む人々が見たら同じような印象を持っただろうと思える。

日本の本当の姿は何なんだ?と言うことにとらわれず侍の格好をした人たちによるアクションだと思い観賞する分には十分楽しめた。

映画の中に現れたカットを見て日本ってこんな所なのと思ってしまうのは次のような場面。武士団が移動していく途上の海と丘。そして着いた場所。

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47RONIN より

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昨年9月15日「SHOGUN 将軍」がエミー賞の18部門を制した際、プロデューサーも務めながら主演男優賞に輝いた真田広之さんはインタビューで次のように語っていた。「東洋と西洋が出会った、夢のプロジェクトでした。」(9/17 朝日新聞 社会面27ページ)

制作主体は米国だったが、日本のスタッフも加わり、時代考証を丹念に行い、セリフの大半も日本語だったとも報道された。そして、同じ紙面で真田さんのこれまでの20年を次のような見出しで表現し紹介した。

「奇妙な日本描写 闘い20年」(9/17 朝日新聞 社会面 見出し)

そこに紹介されていたのは「真田さんのこの20年は、外国作品、とりわけハリウッドにおけるキテレツな日本の描写との闘いの歴史だった」と。

転機があったのは2003年のラストサムライへの出演だった。

当時語っていたことが紹介されていた。真田さんは「自分の世代で、おかしな日本人像を払拭したい」と語り、刀の扱いや着物の着付けなど多岐にわたり意見を述べ、ラストサムライは随分まともになったそうだ。それでも、まだ違和感が残ったようだ。今回取り上げた「47RONIN」でも日本人を演じたのは観てのとおりだったが、日本の描写を正す努力をしたそうだ。そのような経緯もあって、実を結んだのが今回の「SHOGUN 将軍」だった。

まあ、兎にも角にも吉良の首を取った。四十七義士の内、大石の息子、主税だけを除いて皆「名誉」の切腹となった。

そう言えば菊地凛子も不気味な妖術使いを演じ存在感があったな。

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前回のブログの最後に水俣病絡みで泉谷しげるさんを取り上げ、2月6日のTV番組SONGSに出演されることを書いた。

しっかり録画し、視聴した。

番組は阪神淡路大震災(1995年)の際に泉谷が被災地支援のための路上ライブをやったが、それから30年ということで企画され、当時演じた場所でその時に熱唱した曲を再び披露するというものだった。

ここで初めて知ったのだけれど、泉谷は災害支援のため路上ライブでの募金活動を1993年7月の北海道南西沖地震の時から始めていた。

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日ごろから役者としても乱暴な言葉を吐くことを演じているのをよく見てきたが、この路上ライブでも「お前ら、募金しろ!」と大声で言っていたらしい。

人に陰口言われる前に自ら「これは売名行為だ」とか「一日一偽善」ともいいながら呼びかけたんだって。

そして、一年前の能登半島地震まで続けているというから感心したよ!

というか見直した!

2024年10月 3日 (木)

アニメ「はだしのゲン」を視た。戦争、核を改めて考えさせられた!

戦争は今現実だ。

ウクライナ、ガザ、のみならず世界各地で戦乱が勃発し、収拾の見通しもたっていない。この数年だけでも市民のみならず戦場の兵士も含めて数万以上の人が犠牲になった。レバノンでは9月下旬からのイスラエル軍の空爆エスカレートにより、はや1000人以上が死亡し、100万人が家を追われたとBBCニュースが報じていた。こんな21世紀って何?

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8/10 WOWOW放映

今回は「はだしのゲン」「はだしのゲン2」が連続で放映された。それだけでなく、関連したドキュメント番組2本も放送された。「『はだしのゲン』と父 翻訳者 坂東弘美」(NHK E テレ )と「『はだしのゲン』の熱伝導~原爆漫画を伝える人々」(BS12 トゥエルビ)だ。

恥かしながら私は「はだしのゲン」の存在をずっと前から知ってはいたものの、本を手に取り見ることもなく最近まで来た。おそらく漫画であることと、自分なりに捉えているつもりの原爆が題材にされていたからかもしれない。

でも、今回は映画化されたアニメだということに加え、あちこちから漂ってくるきな臭い匂いが私を視る気にさせた。

さらに戦争当事国の権力者の発言や政治家の物騒な言動が怒りや不安を掻き立てていることもあった。

一つはロシアの大統領だ。核抑止力に関するロシア国家安全保障会議で「核兵器保有国から支援を受ける非核兵器保有国からの攻撃に対し、核兵器で反撃できるとの基本方針」を明らかにしたのだ。核保有国でない国にも核攻撃をするという恐ろしい宣言だ。(朝日新聞9月26日夕刊)

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ロシア語でも見ることができる「はだしのゲン」

もう一人の怖い話は、ここで新しく政党の総裁になった方が実行したいことの一つとして挙げていることだ。

彼が総裁になった政党は、数年に渡って国会での十分な審議もせずに実質改憲のような安保の改変をしてきた。集団的自衛権の行使や敵基地攻撃能力などを「できる」ようにしつつあるのだが、それらを前提にした上で、さらに「アジア版NATO」の必要性を主張し、それをどうしてもやりたいと言っていることだ。

同盟国が攻撃されたら一緒に戦争するという軍事同盟だ。

既にアメリカは在日米軍司令部を統合軍司令部として改編し自衛隊の統合作戦司令部(陸海空3自衛隊を平時から一元的に指揮する司令部)との連携を強める仕組みにした。最近新聞で見たんだけどね。

さらに組閣にあたって、これまでに防衛省に関わった人達が多く起用されたこともその推進の為なのかと思ってしまう。驚くのはこの方がアメリカのシンクタンク「ハドソン研究所」に寄稿した論文で核兵器を米軍と日本の自衛隊がシェアすることを提唱していたことだ。(朝日新聞9月29日)

まさかの戦争が間近に迫っているような気配を感じるけど大丈夫かな?。

中国船やロシア機の接近のみならず自衛艦の台湾海峡通過等などもあったしね。

アニメ「はだしのゲン」は戦時中の広島市内での庶民の生活が描かれる。食料不足の中で、ひもじい思いをしながらも、家族そろった睦まじい生活をするゲン一家の様子から始まった。

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職人の父親は非国民と言われても戦争反対を貫ぬく人だった。

アニメの中で父親はゲンたちに言っていた。

「人を殺しあう戦争が正しいはずなあじゃろう。非国民と罵られてもええ、卑怯者と言われてもええ、人の命や自分の命を守るのが本当の勇気じゃ。そのための戦いだけが本当の戦いじゃ」

でも、権力者と軍部は戦争を止めなかった。

そして、8月6日がきた。

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画像はアニメ「はだしのゲン」より

Img_97923そして投下された!

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ゲンの父も姉も弟も、爆風で飛び散った家の下敷きになり、押し寄せる猛火に焼け死んだ。

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広島市民は年末までに14万人が亡くなり、8月9日の長崎原爆投下では7万人が亡くなった。

視聴できて良かった。いわゆる原子爆弾や被爆の実相を改めて考えさせられた。

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それにしても、今年は「核」を考えさせるあれこれが溢れた年だ。

映画「オッペンハイマー」で原爆の父といわれていた方が話題になった。

原水爆禁止世界大会長崎ではイスラエル絡みで欧米のダブルスタンダードが問題になった。

その長崎では被爆者と被爆体験者というおかしな線引きが浮き彫りになった。

広島、長崎、そして第五福竜丸に加えて「第四の被爆」の実態が明らかにされた。

1958年海上保安庁の船が米軍の太平洋上での水爆実験で被爆し、乗組員が一年後に急性骨髄性白血病でなくなっていたことだ。

まあ、つけ加えれば福島でのデブリ取り出しの失態などもあったな。

・・・・と、かくのごとくだった。

彼岸花の白が紅に遅れること10日で咲き始めた。

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2024年7月25日 (木)

ゴジラ ー1.0 観た! 勉強になったよ!!

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wowowプログラムガイド2024年7月号表紙

第96回アカデミー賞視覚効果賞を受賞した「ゴジラ-1.0」(監督 山崎貴)が早々にWOWOW で放映された。

驚くことに、このゴジラ登場で日本でのゴジラ映画実写版は30本目になったという。アニメや外国映画でのゴジラを加えればもっと凄い本数になる。

早速視聴。

併せて「GODZILLA」(2014ハリウッド映画)、「シン・ゴジラ」(2016監督樋口真嗣)そして、おまけに初代ゴジラの予告編を観た。

「ー1.0」の冒頭部を観て少し違和感を覚えた。

私の記憶の中ではゴジラの誕生はビキニ環礁水爆実験の何らかの影響を受けてのことと思っていた。

だが、この物語はアジア太平洋戦争の終戦前後だったからだ。

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「GODZILLA 2014」ではタイトル場面の少し前に「BIKINI」の地図表示が出て、直ぐ水爆実験の映像が流れた。

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 映像ガイドによれば、監督ギャレス・エドワーズの「元祖ゴジラ 1954」へのリスペクトもあって誕生の淵源やらゴジラの属性も同じでよしとして「核実験」を絡めていたように伺えた。

元祖ゴジラは我が家のライブラリーには無かった。ネットで検索した。なんと「予告編」が出てきた。

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予告動画にはっきりと「水爆が生んだ」と出てきた。

「GODZILLA 2014」を観た。

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ドラマとして中々面白かった。

所謂こじつけの飛躍がない。

登場する怪獣は三体。一はゴジラ。二がムートーの雄。三がムートーの雌だ。

その怪獣三体の生息時代と特徴などが事実でないとしても分かりやすく、ドラマ展開を納得させるように説明される。

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ムートーの雄・・・空を飛べる

この生物たちの生態が凄い。人類誕生の何百万年も前、地球の放射線量が、今の10倍だったころ、この生物たちは地球の放射線を食して生きていたのだそうだ。地表の放射線レベルが下がると深海に移動し、地球の核からエネルギーを吸収しはじめたんだって。原始生態系の中ではゴジラは頂点にいた。

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GODZILLA 2014年版

 物語の15年前、フィリピンで化石と共に発見された繭が孵化し、地底をもぐり一匹が日本に出現し原発事故を起こし、一匹はアメリカに現れた。これがムートーだった。

その後のあれこれの話は端折らせてもらい先に進もう。

アメリカムートーは雌だった。子孫を残すため雄を呼び始めた。動物たちのコミュニケーションツールは人知では探れぬ何かがあるようで、ゴジラはそのやり取りをキャッチする能力があり、ムートーを追いかけた。アメリカの街は破壊されたが、ゴジラがムートーをやっつけてアメリカは救われた。ゴジラは闘いの後、海に入り去っていった。目出度し目出度し。

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GODZILLA2014 終幕近く

筋の良く分かる物語だった。

ところで、動物たちのコミュニケーションやら意思伝達について最近あちこちで取り上げられていた。

鳥も会話するとか、さえずりや羽ばたきは、その表現の違いで情報を伝達しているとかだ。イルカなどは以前から言われていたことだけどね。たまたまNHK 「ダーウインが来た」(7/21)でやっていた。

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シン・ゴジラは突然日本に出現した。

巨大青虫のような姿で東京湾に出没して上陸した。街を破壊しながら進み、途中で脱皮するかのように形態変化をしてゴジラになった。

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これらの動きを追跡し分析する日本政府機関にアメリカ政府から派遣されて来た日系人の大統領特使(演者石原さとみ)がこの生物をGOD   ZILLA(ゴッド ジラ) と発音した。

調べて納得。初代1954年版での命名は巨大生物にふさわしくゴリラとクジラを合体させ「ゴジラ」としたそうだ。それがアメリカに渡り「GOD」(神)を頭につけてGODZILLA唯一無二の存在だとしたようだ。

面白いことにシン・ゴジラの「シン」も「震、神、真」の意味が重ねられているんだって。

 

さて、シン・ゴジラも「核」「放射性物質」がキーワードになっていた。

ゴジラ出現についての序論的部分もなるほどと思わせた。

60年ほど遡ったころ、各国による放射性物質の無秩序な海洋投棄が始まっていた。

深海には太古から生き長らえていた生物がいた。彼等は徐々に放射性物質への耐性を有するように適応進化した。そして、廃棄物を餌にもするようになっていった。・・・福島は大丈夫なの?もしかして、何か蠢くものが!

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江の島付近から再上陸

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現在の美しい江の島

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そんな中でゴジラが生まれ進化した。体内に生体原子炉を持つまでとなり、そこから活動エネルギーを得るところまできた。

その辺りを繙いていくなかで、体内原子炉の冷却をどうしているかのメカニズムが解明されてきた。作業の中からゴジラの破壊活動阻止のヒントも見えてきた。しかし、具体化の前にさらに大きくなったゴジラに、自衛隊も米軍も手に負えず街は破壊され続けた。

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アメリカは多国籍軍を編制し核兵器を使うことを提案してきた。でも、日系人であり、祖母が広島の原爆被害者であったアメリカ大統領特使は核を使うことに異議を唱えた。

内閣官房副長官矢口(演者長谷川博己)はヤシオリ戦闘団を編制しその長として核以外の手段でゴジラを射止めることに挑んだ。

体内原子炉冷却にゴジラの血流が役割を果たしていることから、血の流れを停めるために血液凝固剤を注入する案が浮かんだ。しかし、ゴジラの細胞膜の分子構造は元素変換能力があり、凝固剤を無力化するのではという疑問も出た。

そこで、凝固剤に併せて細胞膜の活動を抑制する「極限環境微生物」を投入するという案が生まれた。

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無人在来線搭載爆弾などを使い、なんとかゴジラの動きを止め、凝固剤や微生物を投入することができた。

ゴジラはまさに凝固したように屹立し活動を止めた。めでたし、めでたし、と行きたいところなのだが不安を残したまま、映画はジ、エンドとなった。

 引き続きゴジラー1.0/C (監督山崎貴2024)を視聴。

ー1.0のモノクロ版だ。

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写真は「ー1.0」のカラーオリジナル版より

確かに特殊撮影は見事だった。

冒頭にも書いたゴジラ誕生あるいは目覚め、成長の背景やメカニズムは映画内では明らかにはされておらず、南のある島で古来、深海魚が海面に浮かぶと怪獣が出没するとの伝承があったことだけが話として出た。

核の問題では1946年のビキニ環礁クロスロード作戦だけが触れられたのみだった。

ただ面白かったのはゴジラをやっつける手段として、これまでの映画とは異なる戦法が提起されたことだ。

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相模湾1500メートルの深海に一旦沈め、水圧で打撃を与えたあとに、次は急浮上させて減圧で止めを刺すというものだ。これは作戦化され実行された。

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太平洋戦争末期に開発されながらも

実戦配備されなかった幻の戦闘機「震電」

併せてゴジラは身体表面への攻撃には強いが内蔵直撃には弱いという弱点を見つけ特攻的に爆弾を抱えた飛行機を口の中に突っ込ませるという案が準備され、最終的にその方法で止めを指すことができた。

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ゴジラは海の底に沈んでいった。でも・・・・!

 

 

 

 

2024年4月 4日 (木)

久しぶりに映画「肉弾」を再観賞した!(岡本喜八監督作品) それにしても、21世紀も四半世紀、まだ戦争とはね❗

新聞訃報欄に寺田農(てらだみのり)さんが81歳で亡くなったと載っていた。

見出しに並べて説明するように書かれていたのが「俳優、『肉弾』、『ムスカ役』」だった。

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映画「肉弾」はずっと以前、銀座並木座だったか池袋文芸座かで観ていた。

寺田さんのことはほとんど記憶になかったけど、共演していた大谷直子さんの初々しい印象は残っていた。(大谷さん 撮影時18歳)

寺田さんはこの映画で「毎日映画コンクール男優主演賞」を獲っていたんだね。

「ムスカ」とは「天空の城ラピュタ」(スタジオジブリ 1986年制作)で寺田さんが声優として「ムスカ大佐」を務めたことからだ。

これも評判だったようだ。

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ムスカ大佐

ずっと渋い脇役として活動されていて、時々映画やドラマで観ることはあった。今思えば、このところお見かけしてないなと感じていた。偶然というか、1ヶ月半ほど前の2月6日に「肉弾」がWOWOW で放映された。懐かしい思いで録画した。

久しぶりに観賞したけど、終戦間際が舞台だったという記憶があったものの、画面の流れは全く初めて観るのと同じだった。寺田さんが主役だったことなど何も覚えていなかった。

この映画は1968年に岡本喜八監督によって創られた。(日本ATG 提携作品)

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スタート画面で上の文字が表示された。改めて思ったのだけど、この時、100年前というとちょうど1868年の明治維新の時だった。つまり、そのちょっと前はまだ江戸時代だったんだね。今なら江戸時代は遡ること157年にもなるんだけど。

この映画はアジア太平洋戦争の終戦前後のことを題材にしているのだが、再視聴してすぐ感じたのが、戦争そのものに対してと、軍部や開戦を領導した為政者に対する痛烈な批判と皮肉が貫かれていて、加えてユーモアも忘れない映画だった。ところどころで面白かった。

ブラックなユーモアだったけど主人公が特攻隊員として神になる前日(当時特攻隊員の任務に就くとその時から神になった)、24時間の自由時間を与えられ、先ずは古本屋で本を探した。敵と遭遇するまでの間に読み続けられ、尚且つ寝るときには枕になる本だ。

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最初の特攻は爆弾を抱えて敵戦車に

突っ込むことだった。穴ぐらで待機

笠智衆さん演じる古本屋の店主が勧めてくれたのがハードカバーで厚手の聖書だった。その店主から頼まれたことがあった。実は彼は爆弾によって両手を失っていた。一人では小用が困難なのだ。寺田さん演じる主人公は店主の排尿を手伝った。

たまたま最近自分が排尿困難になったばかりだったこともあって、そういう苦労もあるんだと共感したりして。さらに砂丘で自殺しようとした婦人を助けた時の言葉が面白い。「死ぬことはないですよ。生きていれば小便することだって楽しい」だって。

そんな風に笑わせながらも、全編通して戦争及び戦時中の理不尽と悲惨さはしっかり描いていた。

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作戦が変わり特攻の相手は海上の敵。

敵艦船に魚雷ともども突っ込むのだ。

結局、主人公は魚雷にドラム缶をつなぎ、缶の中で寝起きしながら敵艦を待っていたのだが、いつの間にか遠州沖から東京湾まで流されていた。その時、敵艦と思われる船影を見つけた。魚雷を発射するのだが数メートル進んだだけで海底に沈んでしまった。

敵艦と思っていたのはバキューム舟というか大小便を海に捨てる業者の船だった。

今は放射能汚染の排水を海に捨てるが、昔は各家庭から汲み取り集めた大小便を海に捨てていたんだね。知らぬは一般市民だけだ。驚いた。

伊藤雄之助演じる船主がドラム缶内の主人公を見つけ「戦争は10日前に終わったよ」と教え、陸まで曳航してくれることになった。でも、縄が切れて流されてしまい、そのまま帰らぬ人となった。それから20年余、海を漂うドラム缶の中に白骨死体があった。

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戦争ということではもう一本観たいものあがあった。ただ古い映画であったので新作を先にしていたことから現在まで観ることなくいた。良い機会と思い観賞することにした。終戦一年前、戦意高揚を期待されて作られた木下恵介監督の「陸軍」(1944年松竹作品)だ。

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この映画は陸軍省から依頼されて制作されたものの、作品は狙いとは違った印象をもたらすものとなったようで、以後木下監督は当局からにらまれ戦後まで映画制作に携われなかったと聞いている。

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「陸軍」を観た。確かに皇国史観と戦意高揚に貫かれているように見える。だがそれは時代ごとのエピソードの冒頭のメッセージだけだった。

最初は明治維新に至る戊辰戦争で官軍が攻め込んできて街が危ないという場面だ。でも結局は庶民が苦しい思いをすることが描かれる。

その後も日清戦争、遼島半島の日本帰属への三国干渉そして日露戦争と続く。

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勇ましいようでいて結局は怪我や病気の苦しみが描かれていた。病気で苦しむ陸軍大尉を演じたのは笠智衆さんだった。制作時40歳だった。若い。当然か。「肉弾」に出演した時の24年前だものね。

あと加山雄三さんのお父さんの上原謙さんも出演していた。日露戦争で負傷した兵隊を演じていたけど、まだ35歳で若大将のようだった。

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陸軍省はこの映画が戦意を煽ることを標榜しながらも、厭戦気分を醸すストーリーが気にくわなかった。

映画のラスト近く、息子が上等兵になったことを喜んだものの戦場に赴くことなく新兵教育係として内地に残った。元大尉の父親はがっかりし、怒った。

その後、戦況が悪化していく中で息子も大陸に出征することが決まった。喜び、周りの人からも「おめでとう」を言われた。

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しかし、ほぼ戦死が間違いない状況だ。

父親は「戦死が避けられなくとも、兵隊は喜んで進んでいく。他の国では滅多にないこと」と皇国日本を誇り、母親は「死ぬることに、妨げがあっては何もならん」と二人揃って勇ましく息子を送り出す。

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ところが陸軍省の怒りへの 駄目押しがジ・エンドの直前にあった。

勇ましいはずの母親が出征する息子との別離を悲しみ、それをスクリーンいっぱいに吐露してしまったのだ。

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出征兵士の隊列の中から一生懸命息子を探し、涙を流しながら別れを惜しんだのだ。

陸軍省の怒りも爆発した。🔥😭💣

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それはともかく21世紀が四半世紀過ぎようとしている今でもウクライナ、ガザ、スーダン、ミヤンマーなどでは殺戮が続いている。

イスラエルはシリアにあるイラン大使館領事部の建物にミサイル攻撃をし、さらにガザで食料支援をしていたアメリカNPO のスタッフ7人をも爆殺した。

どうなるのか?

まったく!!

 

2024年3月21日 (木)

アカデミー賞・日本映画が二作品受賞でジャイアントキリング (大物食い ) だ! we did it!

「ジャイアントキリング」とは第96回米アカデミー賞で日本作品がダブル受賞したことを報じた朝日新聞記事の筆者小原篤記者が「並み居る大作を蹴散らした受賞の快挙」を表現した言葉だ。(朝日新聞3/12朝刊32面)

そして「we did  it !」は「ゴジラ-1.0」の山崎貴監督が受賞挨拶の最後に言った「やったぞ!」という意味の英語だ。(3/11朝日夕刊)

新しい年になったばかりだけど、年末の2024年新語・流行語大賞に選ばれそうな雰囲気を持っているね。

ともかく最近の我が同胞は豪放磊落だ。

確かに一昨年の「ドライブマイカー」(濱口隆介監督、西島秀俊主演)のアカデミー国際長編映画賞や今回もノミネートされていた役所広司さん主演の「PERFECT  DAYS 」(’23年第76回カンヌ国際映画祭で役所さん男優賞受賞)にしても日本関係の作品や役者が注目されていることを強く感じるし、監督も演者も堂々としているな。

発表前日のTV ニュースで役所さんがノミネートされたことで インタビューされ「レッドカーペットや授賞式に自分が行くのが想像しにくくて、ちょっと緊張しています」と応えていた。

その翌日の朝刊のトップに下の記事が出ていた。

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朝日新聞3月12日朝刊一面

結果は役所さん出演作品は残念だったものの、二つが受賞した。

過去に日本映画がダブル受賞したことが2回ある。

最初は黒澤監督の羅生門受賞から3年後、1954年第27回アカデミー賞での衣笠貞之助監督「地獄門」の名誉外国語映画賞と同映画の衣装に携わった和田三造さんへの衣装デザイン賞だ。

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NHK(2011年5月放映、録画)

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次は2008年第81回アカデミー賞での「おくりびと」の外国語映画賞と「つみきのいえ」への短編アニメーション賞だ。

あと監督及び作品で言えば黒澤明監督が1951年の「羅生門」で名誉外国語映画賞、そして1989年に黒澤明として名誉賞を受賞している。

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BS 松竹東急(2024年3月15日放映、録画)

その辺りを考えると宮崎駿監督は凄いのだね。

2002年に「千と千尋の神隠し」で先ずは長編アニメーション賞を受賞し、2014年に宮崎駿として名誉賞を受賞。そして今回再び長編アニメーション賞受賞と三度目の受賞となった。

因みに名誉賞とは生涯の功労、映画芸術と科学への貢献、アカデミーへの寄与に対して授与されるものだ。この賞は第一回から創設されていた。

「羅生門」が受賞した名誉外国語映画賞は1956年に外国語映画賞となり、2019年に国際長編映画賞と名称変更されて現在に至っている。凄い賞を受賞したことは分かった。

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WARNER BROS PICTURES「GODZILLA」2014年(2020年5月録画)

写真はここ数年の間に上映されたゴジラ映画だ。

一つは2014年のアメリカ映画「GODZILLA 」そして日本映画の「シン・ゴジラ」(2016年)。

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シン・ゴジラ  脚本・総監督 庵野秀明 監督 樋口真嗣

今回改めて知って驚いたのだがゴジラ映画はかなりの本数が制作されていた。

2016年の「シン・ゴジラ」が第29作目だったそうだ。そう言えば昔、「モスラ対ゴジラ」など聞いたことがあったな。

今度の「ゴジラ-1.0」はどんなふうに映像化されたのか観るのが楽しみになってきた。

受賞作品はすぐには観られないので少し過去作品を観てみようと思い立ち、一本のアニメを観ることにした。

アメリカ映画であるにも関わらず封建時代の日本を舞台にしたアニメ「KUBO 」だ。

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クボ 二本弦の秘密 2016年アメリカ映画より

この映画を特に注目するのは、やはり第89回アカデミー賞(2016年)でノミネートされながら受賞に至らなかったのだが、何の候補であったかというと、今回「ゴジラ-1.0」が受賞した視覚効果賞と「君たちはどう生きるか」が受賞した長編アニメ賞なのだ。(ちなみにKUBOはこの年、英国アカデミーのアニメ映画賞を受賞している。)

始まりは荒れた海を一人小舟に乗った女性が登場。

波に翻弄されながらも三味線をしっかり抱え、正面からの波にはモーゼさながらに海を切り裂き進んでいたが後ろからの大波に襲われ岸に流れ着いた。

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KUBO 2018年12月録画 WOWOWシネマ

装束を観たら、間違いなく日本が舞台だと思えるのだが、時代は平安時代かなと感じた。ところが進行につれ町行く人々の髪型、着物の着こなしから江戸時代としか見えない。それでいいのだ。物語展開に大きな影響はなし。

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主人公のKUBO は三味線の音色で折り紙に命を与える不思議な力を持つ少年だ。

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全編、分かりやすく、ストーリーも波瀾万丈で面白かった。

何よりも凄いと思ったのはこの映画は「ストップモーションアニメーション」なのだ。

この創作手法は根気がいる。

静止している物体を一齣毎に少しずつ動かしカメラで撮影して、あたかもそれ自身が連続して動いているかのように見せる映画の撮影技法だって。

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KUBO撮影現場

このすごさを実感したのは登場人物の表情の変化だ。目の微妙な動きや頬の動きで表情が変わっていくのだが、そこにすごさを感じさせた。

そして嬉しかったこともあった。ストリーが大団円を迎えスクリーンにはDirected  by  Travis Knight と表示されるとともに流れてきた音楽だ。先ずは三味線の1弦によるリードメロディが流れてきた。そして続いて女性ボーカル。

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さらに Music by  Dario Marianelli と表示された後に出てきたのが "While My Guitar Gently Weeps"  written  by  George Harrison だった。まさかここでとは思いもしなかった「ファイル マイギター ジェントリー ウイープス」が流れてきたのだ。

最終的にはギターも交えたバンド演奏になった。ビートルズ及びメンバーの楽曲は大好きなのだがその中でも私にとってはベスト5に入るお気に入りがこの曲だ。終わり良ければ全て良し。 

2023年12月28日 (木)

どの映画が面白いのか、タイトルの選択ヒントをくれた新聞コラム、なかなかだ!

Img_19189 我が家の木々も葉を落とし小鳥たちが飛来しやすくなった!

朝食前、私は配達された朝日新聞をポストからだし、先ずは決まったタイトル三本を読むことが朝の決まりごとだ。

最初に一面下段のコラム「天声人語」、次に題字下の連載「折々のことば」(著者 鷲田清一さん)、そして三つ目が連載小説「人よ、花よ」(著者 今村翔吾さん)だ。読み終わると新聞は奥様に渡し、その日はもう当日の朝刊は見ない。

事件事故はTVやらYahooで充分。

ウクライナ、ガザ、派閥キャッシュバック、検察・警察のねつぞう冤罪、それから司法の政権への忖度・沖縄米軍基地、原発等々。

私は朝飯を食べ始める。

納豆や海苔、御新香など朝飯定番のおかずに加え味噌汁の具を炊きたての御飯に乗せ食べる。

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具は白菜やホウレン草、大根、人参そして豆腐も良いのだが油揚げを細く切ったものと麩が混ざった物は汁味が染みこみ歯触りもよく白米に合う。そして旨いのだ。最後に自家製ヨーグルトを食するのだが、私はその辺りから数日前の新聞を持ってきてチェックに取りかかる。目についた記事やらコラム等を数本決めて自分なりにゆっくり読む。

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クリスマスイブの24日朝刊は28ページだった。これを端から読み始めるといくら時間があっても足りない。さらには頭に入らないし残らない。でも、絞りこんだ数本だけの記事ならば読んで頭に残る。あれもこれもより、かえって世の中が見えてくるような気にさせる。

まあ頭が軟化しつつと言うか軟弱化してきている私の脳リハビリにちょうどいいと言うのが本音だけど。

イブの日にチェックした新聞は前々日の22日と23日の夕刊だった。

この夕刊で目に留まったいくつかのコラムの内三本が表題に書いたような映画鑑賞のタイトル選択をサポートしてくれたのだ。

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一つが「現場へ」と言うタイトルで様々な対象を取り上げている連載もの。この間のテーマは「隠れキリシタンのいま」。18日から22日までの5回続いた。長崎市の浦上地区や平戸市、五島列島など隠れキリシタンの歴史を取材したものだった。江戸末期の「浦上四番崩れ」と呼ばれる弾圧は酷いものだった。

そんな隠れキリシタンのことを考えている内に、観てみるかと頭に浮かんだのが遠藤周作さんの「沈黙」を原作としたアメリカ映画「沈黙ーサイレンス」(監督マーティン・スコピッシ)。江戸時代初期のキリシタン弾圧を背景とした映画だ。

我がBlu-rayに収録されているのだがテーマの重さと上映時間2時間40分と言う長尺物であったことから躊躇して観ていなかった。

Img_20545Img_20590Img_20578 二つ目がタレントの清水ミチコさんが綴るエッセイ「まあいいさ」。

彼女は最近「JAWS」(1975年公開)をやっと観たとのこと。なぜ観なかったかという理由が私と一致した。「どうせサメだろう」としか思えていなかったのだそうだ。ところが配信で観始めたらストーリーも面白く、さらにはサメ映画と言うより人間模様がドラマの主軸になっていることが分かったんだって。面白かったみたい。私も観る気になった。ただこれは我がライブラリーにない。wowowで再放映されたらゲットしよう。

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三つ目は「三谷幸喜のありふれた生活」だ。この連載も長い。2023年12月21日掲載分で1162回目だからすごい。

この回ではご自身の新作映画「スオミの話をしよう」(長澤まさみ主演 公開予定 2024年9月)について語っていた。

参考にしたのが黒澤明監督作品「天国と地獄」(1963年制作)なのだ。誘拐事件なのだが犯人が狙った者とは別人を誘拐してしまう話のようだ。本来の誘拐対象者は会社重役の息子であったのだが手違いで重役の使う車のお抱え運転手の息子を誘拐してしまったのだ。

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三谷さんはこれをヒントにして長澤演じるスオミの失踪から始まるシナリオを産み出したとのこと。

幸いにして「天国と地獄」は我が家にあった。2020年11月に「生誕100年三船敏郎特集」の一つとして放映されていた。この映画も結構長い。2時間25分だ。でも面白そう。

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今回は「天国と地獄」に挑んでみよう。

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そして、観た!

面白かったと言うよりも見ごたえがあった!

逮捕された犯人に語らせたセリフがタイトルに使われたようだ。天国のような邸宅にすむ会社重役それに対して古びた集合住宅で夏は地獄のような暑さに耐え冬は縮こまってしまう寒さの中にいた境遇を医療実習のインターンだった犯人が語った。その生活の違いを発端としての誘拐事件。犯人の策略から捜査過程や結果を報告し意思統一を図る捜査会議まで今のTVの刑事物をはるかにしのぐ面白さだった。黒澤明の監督力だったのか、三船敏郎、仲代達矢、山崎努等々の演技力だったのか?

2023年7月20日 (木)

「私の笠智衆」と称賛された役所広司さん!カンヌ国際映画祭男優賞!

今年開催された第76回カンヌ国際映画祭で役所広司さんが男優賞を獲得した。

出演した作品はドイツ人監督ヴィム・ヴェンダースの「パーフェクト・デイズ」だ。

ヴェンダース監督がインタビューに応え「ここに私の笠智衆がいる」と役所さんへの賛辞を送った。(朝日新聞2023年5月29日)

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「三大巨匠奇跡の名画」(2018年11月NHKBS)より。笠さんは前列右から2番目

ヴェンダース監督は小津安二郎監督と彼の作品に心酔していて、それらの作品で欠くことのできない俳優が笠智衆さんだった。

ヴェンダース監督にとって自分の映画で欠かせぬのが役所さんだというのだから俳優冥利につきるではないか。ヴェンダース監督は、役所の演じる「平山」の人物像を「私の好きな人たちや小津安二郎映画の笠智衆さんから作り上げた」と語っていた。(2023/5/31朝日新聞)

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東京物語より

ところで、笠さんは小津作品ではいつの日からか老け役で出演するようになっていた。

一番上の写真は「東京物語」の出演者揃っての家族集合写真なのだが、笠さんは前列真ん中にいて妻役の東山千恵子さんと並んで座り、両脇に孫役、そして後段右側に長男夫婦、そして長男の隣に長女、そして左端は戦死した次男の妻だった原節子(当時33歳)さんがいる。

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東京物語より

東山さんは1890年の生まれで、東京物語が1953年公開作品であるから、撮影時62歳か63歳だ。映画の中では68歳の妻として演じていた

並ぶ笠さんはと見れば少なくとも妻より何歳か上で70歳前後に見える。

山村聡さん演じる長男がが40代ぐらいだから、そんなところだろう。ところがびっくり、笠さんはこの時まだ49歳なのだ。(1904年5月生まれ)

ちなみに山村聡さんのこの時の実年齢は43歳だった(1910年2月生まれ)。

まあ、親子で6歳違いなどあり得ないからね。見事な老け役だ。笠さんと言えば、なんと言ってもあれだよね。

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男はつらいよ 純情篇(1971年)より。笠さん67歳(実年齢)

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寅次郎 夕焼け小焼け(1976年)より。笠さん72歳

そう!「男はつらいよ」の柴又の帝釈天題経寺の御前様だよね。源公を演じた佐藤蛾次郎さんもよかったけど、皆もういないんだね。私が映画館で笠さんを初めて見たのは多分「寅さん」映画だったと思う。

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東京物語より

今回の受賞に触発されて小津作品2本を見た。

「東京物語」(2015年11月録画 NHK BS )と「お茶漬けの味」(2022年12月録画 BS 松竹東急)だ。

「お茶漬けの味」は「東京物語」が公開された前年1952年の作品だ。

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「お茶漬けの味」の笠さん。(右側)1952年

笠さんは「お茶漬け・・」ではパチンコ店の店主として登場した。その姿を見て「東京物語」の老けぶりに改めて感心した。

「お茶漬けの味」は今回始めて観賞したのだが、出演陣を見て嬉しくなった。

一人はなんと若き鶴田浩二さん。(上写真左の人物・ずいぶん美男子だ・・渡世人には見えない)

二人目は昨年コンサート活動の引退宣言をした加山雄三さんのお母さんだ。私などは小桜葉子さんとして写真だけで知っていたのだが、1936年に上原謙さんと結婚して出演者名は上原葉子となっていた。(動画で見たのは初めて)

そして、もう一人が北原三枝さん。石原裕次郎さんの奥さんだ。女給役としてちょっとだけだったけど。

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東京物語より

役所広司さんの受賞をきっかけにしてだったけど小津安二郎の国際的評価に改めて関心を持つ機会となった。

あれこれの映画評論やドキュメントで紹介され評価されているが、なんといっても有名なものは「サイト&サウンド」誌の10年に一度の「映画のオールタイムベスト」の投票結果だろう。

「The Greatest  Films  of  All  Time 」での2012年の発表だ。

ご存じの方もいらっしゃるでしょうが五位までは次のように並んでいる。

1位 東京物語

2位 2001年宇宙の旅

同じく2位 市民ケーン

4位 8½

5位 タクシードライバー

小津監督の映画創作でよく言われているのは次のようなことだ。

★ローアングル ★家族 ★セリフの反復 ★作り込められたセット ★完璧な演技指導 等など。

それからもう一つ、今回二本の小津作品を観て感じたことがあった。

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お茶漬けの味より

それがたまたまであるけれど、なんと上記ランクでも5位につけた「タクシードライバー」の脚本を提供したポール・シュレイダー監督についての記事(朝日新聞6月16日夕刊)に私が言いたいことを分かりやすく書いてあった。

シュレイダー監督の新作映画「カード・カウンター」の中に「悪夢を思わせるアブグレイブ捕虜収容所など独創的な空間が随所にある。とりわけ無人の空間が効果的に使われる」という記者の論についてシュレイダー監督が語った。

「無人の空間は何も起こっていないと多くの映画監督が誤解しているようですが、ちゃんと起こっています。そこには時間の流れが起こっています。無人の空間は時間が流れていることを表現するために使っています。この手法を、私は小津安二郎監督の映画から学びました」

東京物語を観ていて「無人の空間」が再々出てくるのを感じた。決して流れを遮るものでなかった。と言うか、物語の流れを歯切れよいものにもしているように感じた。

実はこのブログ二番目の写真「洗濯物干し」から始まる何枚かがまさに「無人の空間」カットとしてちりばめられていたものだ。

 

こんな事を書き連ねていたら、遅れて読む新聞の書評欄(朝日7月8日付)に目が留まった。

著者平山周吉さんの書名「小津安二郎」。その物ズバリのタイトルだ。

その本では、28歳で戦病死した山中監督と小津の関係や「東京物語」で「紀子(のりこ)」役で出演していた原節子さん等が新しい視点で取り上げられていることを紹介していた。(評者 椹木野衣多摩美大教授)

その中で「紀子」三部作にも触れていた。晩春(1949)、麦秋(1951)、そして東京物語だ。

・・春、・・秋、こんど視てみよう!

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朝日新聞2023年5月29日